あきる野市乙津地区にある竹の館「竹燈」で東京竹灯りは始まりました。ここは平成13年に佐渡ヶ島出身の河原温洋氏が開いた施設です。良質な竹の産地である故郷の思い出につながる竹工芸品の蒐集とその小さな博物館作りが氏の夢でした。
平成17年に妻と訪れたこの「竹燈」で、河原氏の情熱と竹の美しさに感銘を受けたのが、すべての始まりとなりました。
あれから幾年月。当時は「竹灯り」という分野もなく、試行錯誤の中で、ひたすら納得できる素材の品質、感触、美しさ、そして透かし彫りの技術を追い求めてきました。職人の技術とは「道具作り」に尽きると言われますが、失敗の積み重ねの中から新しい技術が湧いてくる楽しさに、飽きるという言葉はありませんでした。
今から振り返れば、竹本来のシンプルな素材感の美しさを備えた「磨き竹」に精緻な透かし彫りの技術を施した「東京竹灯り」は、日本の職人、就中「江戸の職人」を心の師匠として作り上げたもののように思います。
「呑竹工房」の呑竹(どんちく)とは竹の精髄を自らの内に吞み込むという思いです。
「東京竹灯り」は平成16年に、「竹燈」を拠点にして活動する「工房竹吉」と「長山工房」の三人でブランドとして立ち上げたものです。「竹灯り」という言葉が普及する前は、竹絵灯篭とかBambooOpenWorkとか色々言ってたのも懐かしく思います。