新しい光の芸術「竹灯り」

「竹灯り」は日本人にとって特別な存在である「竹」を素材にして新しくできた光の芸術です。石灯籠に模して中にロウソクを入れたようなものは古くからありましたが、今日竹灯りと言われるものは、この十数年のうちにできたものです。

竹灯りはイベント竹灯りインテリア竹灯りに大別されます。今日竹灯りと言われるものの始めは、呑竹の把握しているところによれば、十数年前のほぼ同じ頃に「ちかけん」によるイベント竹灯り、「深草竹あかりの会」と「呑竹工房」によるインテリア竹灯りとなるようです。現在の竹灯りの流行は「ちかけん」の活動に負うところ大なるものがあります。

東京竹灯り

東京竹灯りは「深草竹あかりの会」と同様に、磨き竹を素材に竹の透かし彫りを施しています。東京竹灯りの特徴としては、切り絵に似た通常の彫りに加えてドリルによる細密な孔を併用することで、切り絵にはない表現が工夫されているところです。

竹灯りの素材作りの工夫の数々

竹灯りは通常孟宗竹が使われます。

竹加工の難しさは、竹の三悪と呼ばれる「割れ」「カビ」「虫」の害を防ぐ工夫が必要なことです。

割れに対する工夫としては油抜きが通常行われます。苛性ソーダなどのアルカリ性の水に晒す『晒し竹」。表面を軽く火に当てて黄変した竹の表面を残す「炙り竹」。バーナーで表面を真っ黒に焼く「焼き竹」。脂分のある表皮だけを剥いて竹の姿を残す「剥き竹」。そして深草竹灯りの会と呑竹工房が始めた、薄く削ってヤスリ掛けを施した「磨き竹」などの工夫があります。

 

また、竹の厚みも「割れ」の原因となりますので、「背割り」の工夫も多く使われています。東京竹灯りは厚みを取っていますので背割りは施していません。

 

「カビ」は水分を吸う性質のある竹の大敵です。製品作りにあたっては十分な乾燥が必須ですが、コーティングを施さないと湿気を吸ってカビの原因となります。東京竹灯りは十分乾燥させた後、本うるしによるコーティングを施しています。

 

「虫」については、通常熱処理して虫の卵や幼虫の駆除を行う必要があります。万一後から虫食いが発生したら、虫食いの周辺をドライヤーなどで熱すると駆除できますので、お困りの際は試してみてください。